テニスに必要なフットワーク
テニス(シングルス)は、縦11.89m・横8.23mの長方形のコートで、相手に応じて適切にポジショニングした位置から、グラウンドストロークのために2.5m~4.5m以内の移動をしたり、サイドラインいっぱいにボールを追いかけるために7m移動したり、止まったり…を繰り返す競技です。これらを可能な限り素早く連続させ、相手に空間的・時間的な余裕を与えないことが勝つために必要な要素となります。
フットワークのメカニクス
今回のブログでは、フットワークを理解するのに必要な「重心」や「床反力」を視覚化して説明していきます。
重心の静止
まず人間が静止している状態を力学的に考えると、およそ体の中心にある、重心に作用する重力(体重のこと)と床反力(地面からの反作用)が互いに等しく、打ち消し合っている状態(加速度が生まれない状態)です。テニスにおける静止の局面でもあるパワーポジションを例に考えてみます(図1)
図1では、重心にかかる下向きの重力(体重80kgの人は約800N)と床反力の上(鉛直)方向への大きさ(800N)が釣り合っているので静止しています。作用・反作用の法則で考えてください。
重心の移動
また、図2のように床反力が重心に対し水平方向に働けば、その分重心は移動します。体を移動させるということは、地面を蹴って重力以上の大きな床反力を重心に作用させて動かすということです。そのため体の移動は、重心位置の動的な変化として捉え、重心が移動しているものと考えます。
現場で活かすポイント
今回お伝えしたポイントは、「優れたフットワークは身体重心に対し、移動方向への床反力を効率よく伝えることである」ということです。「効率良く」とは、地面を蹴る力を大きくすること(矢印の長さを大きくすること)、そして移動方向に効率よく力を加えること(矢印の方向を調整すること)です。膝を伸ばすとき、膝が内側に入っていると効率よく力を伝えることができないですし、水平に蹴れないと上に伸び上がってしまいます。
動画レクチャー
動画では実践編として、地面を押すことを意識できるウォーミングアップをご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください^_^